HACCPとは?

HACCPとは一言でいえば「科学的合理性に基づいて、製品の安全性を確保する衛生管理手段」であり、今日では、国際標準となっている衛生管理の手段です。
その中身として、まず危害分析を行い、調理・製造工程ごとに食中毒や異物混入などが起こりうる危険要因を予想します。そしてそれを防ぐために重要な管理のポイントを定め、継続的に監視・記録して衛生管理を行うことで、食の安全・安心を守ります。

HACCP
Hazzard
Analysis
Critical
Control
Point

危害分析 を行い、重要管理点 ごとに
継続的監視・記録して衛生管理を行う。

従来の管理手法では、出来上がったものに対し、規定した基準を満たしているかをチェックしていました。一方、HACCPによる手法では、事前に危害要因を工程ごとに分析し、工程ごとの安全に関わる重要管理点だけをチェックすることで、安全性の高い完成品を提供することが可能となります。

従来方式HACCP

HACCPの制度化とは?

2018年に食品衛生法が15年ぶりに改正され、HACCPに沿った衛生管理が制度化されることとなりました。欧米ではすでに外食を含めた全ての食品事業者に対してHACCPによる衛生管理が義務付けられていますが、日本ではまだ共通の認識に乏しく、諸外国に後れを取っている状態です。
前回の食品衛生法改正(2003年)時は、HACCPの考え方を指針として取り入れていましたが、あくまで指針に留まるものであり食品業界全体に浸透するまでには至りませんでした。今回の食品衛生法改正では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、外国人観光客増加を背景に、およそ2年の移行期間をもって急ピッチでHACCPによる衛生管理が進められます。

国連、米国が提供するHACCPガイドラインが、世界共通規格

HACCPガイドライン

国連基準
Codex委員会
米国基準
NACMCF

進捗状況

2006年
完全義務化
2015年
完全義務化
2020年頃
制度化開始

制度化に際して、食品事業者の規模に応じて2つの基準が設けられています。
食品工場などの大規模事業者においては「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取り組み(HACCPに基づく衛生管理)」による運用が適応され、小規模事業者や提供する食品の種類が多い飲食店などにおいては、一般衛生管理が主体となる「取り扱う食品の特性等に応じた取り組み(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)」による運用が適応されます。

食品工場などの大規模事業者

食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組
(HACCPに基づく衛生管理)

いわゆる「Codex」のHACCPであり、7原則を要件とした高い管理事項が要求される。

小規模事業者や
提供する食品の種類が多い飲食店

取り扱う食品の特性等に応じた取組
(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)

各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う。
小規模事業者が対象となる「取り扱う食品の特性などに応じた取組」においては、各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことになります。これらの業界団体が作成した手引書は、厚生労働省のホームページ上に掲載されています。
食品衛生法等の一部を改正する法律は、2018年6月に公布されましたが、公布から起算して2年を超えない範囲内において施行されることとなります。したがってHACCPに沿った衛生管理も2020年頃に制度化されることが想定されます。
  • 2017
    2017年、厚労省がHACCPの導入を制度化・義務化する方針を明言。
  • 2018
    2018年1月からの通常国会で食品衛生法改正法案を審議。
    4月に参議院本会議で可決。6月に公布。
  • 2019
    2019年は施工までの準備期間。
    様々な手引書などが整備される。
  • 2020
    2020年オリンピックイヤーに改正法いよいよ施行に!
    HACCPに沿った衛生管理の制度化がはじまる。
  • 2021
    2021年には経過処置も終了し、完全に制度化・義務化へ!